|
3日前、上野の国立西洋美術館で開催されている『ドレスデン国立美術館展』に行ってきました。 お目当てはフェルメールの絵。今回の展覧会では、「窓辺で手紙を読む女」が来日していました。 フェルメールは高校生の頃、「青衣の女」を画集で観て以来、心惹かれていた画家です。でも実際に彼の絵を観ることができたのは、昨年観た「絵画芸術(画家のアトリエ)」が初めて。今回は2作目でした。 まっすぐに向き合ったときの最初の印象は、とても静か、ということ。 薄暗がりの室内と窓から射す柔らかい光、その光と影が女性の首筋とまぶたにおちていて、とても大切な人からの言葉に彼女が傾注しているような、そんな静けさを感じました。 誰からの、どんな手紙を読んでいるんだろう、そしてあなたは誰?と問いたくなるような、物語を内包した絵だった。 フェルメールの著名な絵といえば、「真珠の耳飾の少女」と、それから「青衣の女」や「リュートを調弦する女」「天文学者」などの、窓辺に人を配した絵。その窓辺シリーズの最初の絵が、今回の「窓辺で手紙を読む女」です。 この絵は数奇な運命をたどったことで有名みたいです。1657年頃に描かれたこの絵は、1742年にザクセン選挙候アウグストが入手するのだけれど、その時はレンブラントの絵だと思われていたそうです。その後レンブラントの弟子の作品とされたり、デ・ホーホの作品とされたりして、18世紀後半にようやくフェルメールの絵と認められます。 第二次世界大戦中はナチス軍によって隠されたため行方が分からなくなり、1945年、ソ連軍に発見されたときには塩鉱山の坑道に放置されていたそう。その後もソ連軍が戦利品としてこの絵を持ち帰ったので、再びドイツに戻ってくるまでには10年の歳月を要しました。 時代の波に翻弄されている間も、絵の中の女性は静かに、一心に手紙を読み続けていたんですよね。そして今はなぜか私の目の前にある。どんな絵も歴史を背負っているだろうけれど、そんなことを絵を観ながら考えていると、とても不思議な、なにか崇高な気持ちになりました。 あといくつ観られるかな、フェルメールの作品。全部で36点らしいのだけれど・・・。 以前、大切な友人が贈ってくれたフェルメールの画集の表紙は、「真珠の耳飾の少女」。 この絵はいつか、オランダまで観に行きたいな。
by anim-_-m
| 2005-09-19 01:26
| 絵画
|
ファン申請 |
||